ひつじぶろぐ

いろいろつまみ食います。

AntVRのMix体験会レポ(& 日本のAR/VRコミュニティについて)

先週(2018/5/26)にあった,AntVRのMix体験会に行ってきました. Mixは96°という超広視野角が売りの,界隈の人をざわつかせてる注目のARグラスです.

www.kickstarter.com

今ちょうど開催中のAWEにもブースを出しているので,詳しい情報がまたすぐ出る(出てる)かもです.が,この体験会を通じてMixに関することだけでなく,日本のAR/VRコミュニティにもちょっと感じるところがあったので,自分の忘備録としても書いておこうかなぁと思います.

Mixに関してのサマリとしては,

  • SWについて
  • コンテンツについて
    • ILLUSIONだった.どちらからのアプローチか聞きそびれたが,わかってるチョイス
  • HWについて
    • 処理系は外出し(=PCは別)とはいえ,外見はびっくりするぐらい軽い&小さい
    • 画角 is 正義.水平方向に関しては「あ,仮想物が切れた」ということはなく,人間の「気になるライン」は超えている印象
    • とはいえ,視界が暗く現実世界が見えにくいので,体験としてはARというよりVRに近い印象
    • 光学系がすごいらしい

という感じでした.


目次


はじめに

この体験会にいろいろ尽力してくださった@oukaichimonさんに感謝.

SWについて

インサイドアウトのトラッキング(SLAM)はなく,姿勢の3自由度だけの全天球状態でした.他の人はNOLOのアウトサイドインのトラッキングはあったそうなのですが,自分の番にはそれもなく..すごく残念でした...

とりあえずSLAMについて,来ていたAntVRの中の人(CTO?)に聞いた内容が以下.

  • SLAMは自社で開発しているが,なかなか苦しんでる様子
    • 「めちゃくちゃ難しくないですか?」とツッコむと,「めっちゃ難しい」って言ってめっちゃ苦笑いしてたw
  • ステレオカメラ+IMUで,visualな特徴量とデプスの両方使っているとのこと
    • どう使っているのか,と聞いたのですが,詳しいアルゴリズムはわからないとのこと(まぁ英語で聞いても自分が理解できなかっただろうが..)
  • 「来週のアメリカでのイベントではSLAM見れるよ」と言っていた
    • が,現地からのAWEの情報見てるとSLAMないっぽいな..

拙い英語での会話で,うまく伝えられてない&聞き取れていないとこあり嘘も混じってるかもですが,聞いたのはこんな感じです.文字ベースで伝えきれないですが,「難しい」と言っていたときの苦笑いの感じがなんとも苦しんでる感が出てましたw

ToFではなくステレオカメラでやるとのことで,実世界を正しくセンシングするにはメカ精度・キャリブなどが大きく絡んできますし,スタートアップでやるのは相当難しいんじゃなかろうか,と思ってます.そのあたり深センパワーはどこまでできるのだろうか..

とはいえ開発スピードはかなり早そうなので期待はしてます.「小型で画角大」というセールスポイントがすでにある分,SLAMの自社開発にこだわる理由もないでしょうし,いつの間にかLeapMotionのNorthStarとかのいいモノに乗り換わってる,ということもありそうですしねw

コンテンツについて

ILLUSIONのVRカノジョでしたw

このコラボがAntVR側からなのかILLUSION側からなのかは聞きそびれましたが,もし前者だとしたら「わかってる」チョイスだなぁと思います.AWEでもILLUSIONのコンテンツで出しているようです.

アメリカでこれが受け入れられるのか,そもそも日本でさえ人を選ぶコンテンツなのに,それを中心にしてプロモーションを進めていいのか,はかなり疑問です.

が,HoloLens発売から約2年経っていてもまだARグラスはある一部の人のもの,という感じですし,まずはその一部の人に思いっっっきり突き刺さるコンテンツで攻める,というのはスタートアップの攻め方としては良いのかなとも思います.少なくともMSのような大企業ではできないであろう攻め方ですねw

HWについて

ここが今回の体験のメインでしたね.以下「外見」「見え」「光学系」の3つに分けて感想を.

外見

PCが外部接続とはいえ,めーちゃくちゃ軽い&小さいですね.軽すぎておもちゃみたいな印象を受けるぐらいです..

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よく見るとガムテープとかで貼り付けられてます.これでもちゃんと見えてるのですごいですねぇ.メカ精度がそこまでなくても大丈夫というのは素晴らしいです.

かぶってるときの感じはこんなもの

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さすがにHoloLensと比べるとスッキリですね.

固定方法は,HoloLensやPSVR,ViveProと同じように後ろでダイヤルをカチカチ回して締めるタイプでした.バンド式は調整難しいので助かります.とはいえ,まだメカ的にちゃんとできていないようで,AntVRの人しかうまくつけられなかったですw

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頭の上を抑えてくれるものが何もないので,PC接続のケーブルが引っ張られたときにそれに引きづられてちょっとMixがズレました.が,そのへんは慣れればなんとでもなるかな,という印象です.Mix単体だと十分軽いので,ずり落ちてくるなんてことないですし.

見え

自分はグラス越しの映像をうまく撮影できなかったので,人のを引用しますw

画角はホントに素晴らしかったです.96°とかはどうでもいいです.人間の「気になるライン」は完全に超えてきたなという感じです.水平方向に関しては「あ,仮想物が切れた」と思うことはありませんでした.特に視界の隅に仮想物が見えた瞬間は感動モノでした.

とはいえ,視界はかなーーり暗かったです.現実世界が見えにくく,体験としてはARというよりVRに近い印象でした.正直これならVRHMD系でやるビデオシースルーでいいかなぁと思ってしまいました.グラス越しの世界が暗い分,グラスの横から入ってくる光が明るくて気になる,というのも,ちょっとしたことですが個人的な残念ポイントの1つでした.PSVRでも鼻の部分に黒いピラピラつけてますよね.あそこから漏れてくる光とかって結構気になっちゃいます.MagicLeapはそのへん気にしてゴーグル型にしてきたのかなとも思ってしまいました.

あと,解像度はHololensなどに比べると低く,加えてちょっともやっとします(これは光学系の影響が大?).自分は見そびれたのですが周りの人のハナシだと,文字を見るのは結構ツラいとのことでした.でもまぁ普通に女の子見る分には問題ないですけどね.

光学系

ここがMixのキモだそうですよ!

そのうちミクミンPさんやあるしおうねさんが詳しい解説を書いてくれそうな気もしますが.今のところははこの辺のツイートの情報が最も詳しいと思われます.

ミクミンPさんの生講義を目の前で聞けたので,自分の分かる範囲で簡単に解説しようかと思います.(この辺詳しくない / 自分の解釈ミスもあるので嘘も混じってる可能性も高いです!


根本的な問題としては,このMixやMeta2のようなディスプレイの光を目の正面のハーフミラーなどで曲げる方式だと特に,小型になればなるほど目の焦点をあわせる位置が短くなっていきます.ディスプレイまでの光路長がだんだん短くなっていくからですね.そうなると輳調節矛盾の問題が顕著になってきます.

内光(ディスプレイからの光)は,普通だと下図中の星マーク部分から出ているように見え,その面に焦点が合いそうです.しかし,Mixでは目の正面にあるレンズをうまく工夫して,星マークの位置からではなく,3m先から光が出ているように光を曲げているそうです.その一方で,外光(現実環境からの光)は偏光させた上で素通しします.

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ミクミンPさん曰く,普通レンズでこのようなことをすると波長ごとに曲がり方が違うので内光が滲んで見えるはずだ,とのことですが,Mixではレンズを12層重ねて滲みを抑えているそうです.各波長ごとの曲げ具合を調整しているようです.


...素人にはよくわからない世界ですね.ただちょっと光学に興味が出てきました.面白いですね.

おまけ:日本のAR/VRコミュニティについて

順番待ちしてると,「どもどもお久しぶりです」「最近どうですか?」「XX見ましたよ」みたいな会話をしていて,AR/VRコミュニティみたいなのが完全にできているのだなぁと実感しました.

自分が今回の体験会の参加者リストを見たとき,Twitterなどでの名前は知っているけど顔はもちろん知らない,という人がちらほらいましたが,そういう人たちがリアルの場でも交流があるのはなんだかすごいなぁと(語彙力)

バイスを作っているメーカとしては,いいモノさえ作ってそういう場に持ち込めば,色んなコンテンツやアプリはコミュニティの人たちがガンガン作っていってくれる感じなので,モノづくりに集中できそうですね.そのデバイスの特性など事細かく説明しなくてもコミュニティの人は理解してくれますし.まだまだARグラスは素人目には制約があるデバイスだと思いますが,そんな制約下でもいいコンテンツを作っていってくれるように思います.その中で知見やフィードバックが,メーカとコンテンツを作る会社の間でやりとりされていけば,どんどん双方よくなっていくように感じます.

ソニー任天堂のゲーム業界では,ハードと同時にフラグシップなコンテンツを同時に自前で出してくる感じですが,今ホットでスピード勝負なAR/VR業界だと,メーカ側でそれほどじっくりコンテンツ作り込めないでしょうし,メーカとコミュニティのよい関係がますます重要になってきそうですね.